text>> 与田 聡

 さて、「嘘学」について2回目のお話しをはじめたいとおもいますが、実は2回の連載レポートとして、依頼をうけていたことをすっかり忘れてしまっていて、先日、編集長から「いかがかな?」とE-メールが届き、思わず「うるわしゅう。」と返事をしそうになったのですが、連載のことを思い出し、あわてて、「今書いています」と返事をおくって、いそいで書き出した、ということを読者のみなさんは編集長に告げ口しないでいただきたい、という無意味な長い書き出しから、はじめてしまいましたが、もういきなり前回お話しした「嘘学」のまとめに入りたいと思います。
 嘘という字は口に虚(うつろ)と書きます。中国の玉須(ぎょくす)というひとが「白いカラス」がいると、言ったことから、玉須のことを人々は彼のことを烏素人(うそにん)、また、玉須を訓読みして、ダマスといったという、これまた嘘っぽい話が伝えられているそうです。玉須がデタラメを言っていたのか、本当にたまたま突然変異の白い烏をみたことがあったのか、ユーモアだったのか、本人は本当に本当だとおもっていたのか。
いずれにしても「うつろ」なことをいっていたとはおもえないのですが、いったことが嘘かどうかなんってことは、「嘘学」においては大した問題ではないのです。
 でも、一応前回、ふれたいくつかの「嘘学」について、それらがなぜ、なにが嘘といわれているかを、順に見ていきたいと思います。

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[ 鼻行類 ] 存在しない動物を徹底した生物学的記述はもちろん連関する学問分野からの記述がある。

嘘と言っていない >>>> 多くの人がだまされた。本気で国ごと怒って国際抗議をしてしまうぐらいだまされた。
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[ 平行植物 ] 存在しない植物を徹底した生物学的記述を行っているがイラストなど情緒的な部分もみうけられる。

幻想と言っている >>>> ほとんどの人は事実とはおもわない。
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[ 妖精の飼い方 ] 存在しないであろう妖精の飼い方を他の動物の飼育専門書の様に記述。

嘘と言っていない。 >>>> ぜったいだまされない。
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[ シーマンの生態 ] 仮想空間に存在する動物の飼育方法をこと細かく時系列にそって記述。

嘘と言っていない。 >>>> ゲームを知らない人はだまされるかもしれない。
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[ 新化 ] 小説。記述手法は根本的に「鼻行類」に似ている。

小説である。 >>>> 小説と思う。
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[ スプートニク ] 構成、コンセプトはきわめて、「鼻行類」ににているが、「鼻行類」とくらべると、力強さに欠ける

嘘と言っていない。 >>>> でも嘘でしょと思う。
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しかしながら、これらの書籍はすべて一般的にかどうかはしらないけど、いちおう、嘘学本と分類されています。
 共通する部分はなんかいなと考えると、いわゆる学術的風かどうかということが大きなポイントになりそうだというかたちに話をもっていきます。
 前提はみんなホントではないこと、そこから話がはじまっています。そして、それらの記述は論理的、客観的風にかかれているのです。生物学の専門のようにかかれると、生物学の本のようにおもってしまうのです。もっと、つっこんで生物学の本と同じようにかけば生物学の本のように思ってしまうのです。
 設定そのものがどのくらい気合いがはいっているか。その書き方が徹底しているか、少し散漫か、その程度の差で私たちはだまされたり、だまされないにしろ、この嘘おもしれえなあ、とおもってしまうようです。

 そんな論理的、客観的風であるがゆえのばかばかしさを、さらに追求?したのが、土屋賢二氏の「われ笑う、ゆえにわれあり 」です。これは嘘学本とはいいづらいですが、徹底した意図、恣意が極めてばかばかしさをさそってくれるのです。そして、論理構成は理路整然としているし、論理根拠もかなり一般的なものを使って展開しているんだけど、その使い方が「嘘」なので、ニヤニヤしながら、読んでしまうのです。

 「嘘」は英語の lie の意味もあればfibでも falsehoodでもあるのでは。そして、virtualでもあるし、ある関係を visualize、languagizeしたものでしょう。
 つまり、人々の社会生活において、基本的かつ重要なエネルギー要素となって、環境に様々な形で蓄積されて、それらが、様々な形で、社会に対して放出され、新たな生産を生むのではなかろうかのう。
(ナンデヤネン)

thanks
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