
text>> 与田 聡
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Fig.5 | 今回と次回、2回にわたって、「鼻行類」と「平行植物」について、 話をしていこうと思います。
「鼻行類」「平行植物」という生き物をご存じでしょうか。ご存じない方も多くいらっしゃると思いますし、はたして、「考察」といっていいのか、ということもありますが、このさい、そんなことは気にせず勝手にはなしをすすめていきます。
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Fig.1 |
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Fig.2 |
大学生の頃だったと思うのですが、一冊の大変興味深いというか、ミョーな内容の本にであいました。「鼻行類」新しく発見された哺乳類の構造と生活 著:ハラルト・シュテュンプケ 訳:日高敏隆/羽田節子 という本です。現在は装丁もかわって(Fig.5)、平凡社から再版されている様ですが、私が最初に読み、今も持っているのは思索社からでたハードカバーのものです。さて、そんなプチ自慢はまたもやさておき、表紙を見ておわかりのように、この本は太平洋のハイアイアイ群島のマイルーヴィリ島に住む鼻で歩く動物の生態をまとめたものです。出版のきっかけは「秘密裏に行われた核実験により、この島及び群島全体が消滅した。」だそーです。きわめて、特殊な生態のをもつ種を学術的・体系的にかつ、高度な分析、数多くの資料などにより、論としてまとめられたこれは、「当時かなりセンセーショナルな影響を科学界に与えた。」と、科学界は言っていたように覚えています。こういった、鼻行類たちにはナゾベーム、ダンボハナアルキ、イカモドキ、タダハナアルキ、マンモスハナアルキ、ナメクジハナアルキ(Fig.1.2)など、「そのままやないか」とつっこみたくなるような、非常にわかりやすいベタな和名がつけられています。それぞれ、云々かんぬんを書きつづりたいけど、紙面の都合ということにして、”ジェットハナアルキ”の運動形態、骨格、筋系(Fig.3.4)を添えることで、「鼻行類ってなんやねん」をわかってもらえればと思います。
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Fig.3 |
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Fig.4 | Fig.3は敵などにおそわれたときの行動の様を示したもので、わけわからんかたちのの鼻を使って、後ろに飛び跳ねる様子が描かれています。「後ろから、おそわれたときはどんなふうに動くねん?」ということはこの際考えないことにして、その下の絵には、餌を食べる”ジェットハナアルキ”の様子がかかれています。小動物を捕らえ、食べている様子でしょうが、その周りの生物?植物?-海縁に住む生物でしょうか-の形からもこのマイルーヴィリ島の超オリジナルな生態系をみることができます。残念ながら、鼻行類以外の研究資料に関しては、マイルーヴィリ島及びそこにあった研究所もろとも、ふっとんじまったようです。
と、ここまで、いろいろかいてきましたが、鼻行類なんていう動物はホントはいません。この本に書かれていることは全部嘘なのです。全部、作者が考えたフィクションです。解剖図も生態分類もスケッチも島・研究所の存在も嘘なのです。ホントなのは南太平洋で核実験が行われたことだけです。それに抗議しての出版なのです。徹底的にこだわって、学術的な形式で、すべてにおいてことこまかく書くことで、逆説的?に訴えかけている、根性のはいった内容です。ってことは、これは嘘なのかといわれると、かなり、困ってしまいます。
アニメーションを嘘という人はいないし、小説を嘘というひともいません。ゲームなんかも嘘といわないし。でも、ホントのことかといえば違います。
創作すること、創作した物は嘘って言や嘘だし、でも、偽物とかそんなうさんくさいものではないよなあ、シミュレーションとも違うし。なんてことを、考えるとアートって実在していない物を想像して、なんか、思いや考えや気持ちや気概を考えて、思って、つくって、表現するものだよなあ、じゃあ、アートは嘘カヨ?ってなって、アートを「嘘」っていう奴はいねーヨ、となって、わけわかんなくなって、 結局私が思うのは、
鼻行類はアートだ
嘘は楽しい
鼻行類は楽しい
ゆえに、嘘はアートだ
となりました。途中の論理過程はあんまりつっこまないようにしていただいて、ちょっと濃いかもしんないですけど嘘の楽しさをこの本から見つけてもらえれば。嘘を嘘としてわかりながら、嘘の会話をする。なんと高尚な文化でしょうか。あー楽しい。ってことは、嘘は文化だよなー。なるほど。ということにします。
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Fig.6 | 一般的なことかどうかわからないですけど、こういった分野をすこしおちゃらけて、嘘学といっているようです。
ちくま文庫からでている「平行植物」著:レオ レオーニ 訳: 宮本 淳 (Fig.6)も超嘘学的で、勝手につくった植物をやたらめったら、紹介しています。例えば、そのなかにでているタダノトッキという名前の平行植物はまさしくただの突起のように生息しているタダノトッキです。
その他にも嘘学本として、
「ウルトラマン研究序説」「たほいや」
「新化 」「われ笑う、ゆえにわれあり 」
「妖精のそだてかた 」「スプートニク」
などが言われているようです。嘘学といってもコンテンツが嘘学的なのか、システムが嘘学的か、論理展開が嘘学的か、気合いの入れ方やバカバカしさが嘘学的か、などいろんなとらえかたがあるようですので、次回は紹介した本のいろんな嘘を嘘学的にお話ししていこうと思いますので、よかったらどれか嘘学本を次回までによんでみてください。
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