text>> 倉岡真吾
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   私、生まれは九州、熊本、ひょんな事から岡山に住み始めまして6年目になるアーティストです。
   岡山で暮らし始めてからはメシより好きな新幹線の絵を描いたり、ビニール傘を1000本くらい集めてお気に入りの場所に並べたりと身近に感じたモチーフや日常の生活の中で手に入る素材を使って製作を続けています。昨年は岡山で開催された「奉還町アート商店街」という企画展に参加しました。町並みのおもしろさ、いろんな人や猫との出会い、自分の感じる時代状況などを形にした結果、新しい展開のプロジェクトを作り出しました。それは自作の猫のキグルミを着て、街の中に捨てられた状態になる『ステネコ』というパフォーマンスです。

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    日本では美術作品を見る、鑑賞するという教育がおざなりになっている問題があると思います。私が教わってきた図画工作や美術の授業では教科書通りに出来たか、周りや他人と比べて「絵が上手、下手」と振り分けられたり、通信簿などで点数がつけられていました。技術面での指導が多く、欧米の授業の様に実際に美術館などに行って作品鑑賞する事や体感した事をレクチャーする様なプログラムはありませんでした。そんな理由もあって絵を描かなくなったり、美術を楽しめないどころか嫌いになってしまう子供を増やしていた様に思います。美術でもそれが現代美術ともなると「抽象的で難解?、わかんない」とまゆをひそめられ、敬遠してしまう人が一段と多くなるのが今の現状ではないかと思います。また作り手の側も「わかる人だけがわかれば良い」と見る人を選んできたことが尚一層、美術と人々との溝のようなものを広げちゃって、美術を楽しめない人を増やしてきたんじゃないでしょうか。そんな原因もあってか、なかなか作品に接してもらえるチャンスや場が少ないように感じていました。
つまり・・・アートなのです。

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    そんな理由から私はなにか作品に関わるという点で今までと少し違ったアプローチができないか?それを含めた作品の発表方法はないか?と考えを巡らせた結果、『ステネコ』なるパフォーマンス、方法を実験することになりました。昨年はアート商店街をかわきりにゲリラ的な展示を多数行い、倉敷のギャラリーにて「ステネコDX」という個展を行いました。展示会場をネコの巣?のように見立て自作のネコのキグルミを着て、会場の周辺で展示会場の地図、チラシを配りお客さまを巣に誘い込もう!という主旨でした。まるでキャバレーの客引きとも変わらない感じがしないでもないのですが、町の店先では段ボールにステネコと書いて2時間ぐらい座っていましたら意外にも女子高生に「気持ち悪いー」と言われながらもチラシを受け取ってもらい展示会場に足を運んで頂きました。美観地区では一気に観光客の方々10人ぐらいに囲まれながら配りはじめたのですが、近くでアクセサリーを販売していたおじさんに「商売のじゃまやー」と怒られて、ものの5分で退散となりました。これって嫉妬かも…なんてふと考えましたが、結局はナワバリ争いに負けちゃいました。それからトボトボとキグルミを着たままギャラリ−に戻っていると6人ぐらいの子供に追われました。その中の少年(5才くらい)には「死ねー」と言われながら蹴られてしまい、なんだか本当に捨てられた気分になりました。その事を思い出すと今でも気持ちがちょっぴり凹んでしまいます。作品としての問題点や反省しなければいけない部分はかなり多いのですが、本来この様に多様な価値観がうずまく街での作品発表は、非常にエキサイティングな出会いを生み出すきっかけが多いのかもしれないなぁとおもしろく感じました。これらの刺激的な体験が日頃のアート活動の考えるヒントに繋がっており、思考の血肉となっています。
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   現代の世の中は以前よりも沢山の「人造美」で溢れてきていると思います。そういった点では何百年もの前の時代、かつての一部の権力者たちが望んでも得られなかったぼどのパラダイスとも言えるかもしれません。そんな日常の生活の中では誰でもふと面白いと思ったり、感動したりする事はあるんじゃないかと思います。その感動はアート作品を観たり創ったりして楽しむ事と何ら変わらないのではないでしょうか。今に生きる私達は「アートだから」とあんまり恐れたり、ありがたがる必要はなくて、例えばここでのステネコに関わった方々の様に、アート、美術の作品に対してダイレクトな反応を返してみてはいかがでしょう?そうすることで様々な文化の活気のある環境、本当の批評性、しいては良き作品との出会い、豊かで面白い地域性…みたいな所に少しずつでも繋がってゆくきっかけになるんじゃないかなぁーと想いを巡らせています。

   最近では岡山での若手作家のネットワークが少しずつ広がっているように感じています。今年の夏は犬島や山陽町でのアート企画、ギャラリーや小学校でのワークショップ、文化センターでの展覧会と、同世代のアーティストが企画立案や作品出品など色々な形で関わり、アートによってこれからの現実問題に向き合おうとしています。様々な情報交換、話しをする中で自分もがんばらなきゃと刺激を受けている毎日です。このアーツペーパーを手にしているあなた!今年の夏はぜひお誘い合わせのうえ、各種アートイベントにどっぷりと浸ってみてはいかがでしょう?そしてダイレクトな反応をおすすめいたします。

   でも子供に蹴られるんはもうかんべん…トホホ
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Pictures :::
-- すてねこ
-- 傘
-- 新幹線
-- ステネコDX

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